2012年12月24日月曜日

長期投資で受取配当を効率的に増やそう その6 ドル/円レートと米国株投資について






X A + B + C – D – E ± F

X=受取配当金の総額

A=ニューマネーで買った株式のもたらす予想配当額
B=受取配当金を新株購入に再投資した場合の予想配当額

C=保有株式の増配
D=保有株式の減配
E=保有株式を売却した場合の予想配当額の減額部分
F=外国株における為替影響額

6番目は為替問題です。これもブログで繰り返しになりますが、米国株の場合、長期的な株式の年率リターンは長期的な円高に勝っている、という事実があります。ドル安になっても、それ以上に米国株の一株当たり当期利益(EPS)が成長しています。

基本的にEPSの成長と同じだけ増配をする、という前提に立てば(配当性向を一定とみなす)、配当金も円高に勝つことが出来ます。





   
 国際通貨研究所のHPに掲載されているドル円月中平均レートを197312月から20128月までの推移です。1973年から2006年までは各年の12月のレート、2007年以降は月次レートとなっています。

期間通算39年では年率平均3.2%、1992年からの直近20年間(バブル崩壊後)では年率平均2.2%の円高となっています。

 
一方、S&P500の年率平均リターンは1973年以降では6.7%1992年以降でも6.4%となっておりました。配当利回りは概ね2%で見て良いと思います。




S&P500は過去40年でも20年でもトータルリターンのスイートスポットは8.5%6.5+2.0%)程度と考えてよさそうです(ちなみに過去30年とすれば、米株の超強気相場の出発点になった1982年が起点となるためS&P500の年率換算リターンは8.6%まで上がる)。


8.5%-円高率=円ベースのS&P500の実質トータルリターン

一方、アメリカでは、だいたい年平均3%程度のインフレが継続しています。



1980年以降の場合は3.5%(第二次オイルショック時の1980年、81年の2年が大きい)、インフレが沈下した1982年以降の過去30年平均だと3.0%、1992年以降の過去20年平均だと2.5%となっています。

 最近話題の日本のインフレ率は・・・



1980年以降の場合、1.02%、1982年以降は0.7%、1992年以降の直近20年では0.1%となっています(ちなみに直近10年間では▲0.1%)

 
まとめると…(配当利回りは省略させてください・・・データが見つからなかった。Add onすればいいだけですね。2%ぐらいでいいんじゃないか)



 

米国株の日本人実質利回り(自称)とアメリカ人の実質利回りを比較してみてください

(安部さん、本気で日本のインフレ率を2%にするのかな? 水風呂からいきなり熱湯になるような感じがしました。しかし、インフレターゲットが政策導入されると、円高進行率は理論的に小さくなる一方、日本のインフレ率も上がるので、実質リターンは大きく変わらないと思料)

アメリカ人でも日本人でも、アメリカ株に投資した場合の(実質)リターンが大して変わらない(1992年以降だと日本人の方が低インフレと円高進行の落ち着きでリターンが上になっている、1982年以降の年率0.7%程度のインフレを気にした日本人も少ないはず)、ということになれば、世界最大の市場で、より効率的で(ゾンビ企業は市場が駆逐する、経営者の株主意識が他の世界市場と比較して高い等)、銘柄の質が圧倒的によい米株式市場で投資した方が成功の確率は高くなるのではないでしょうか?

バフェットやピーター・リンチ等が実際に投資して成功して(その他多数の投資成功者がワンサカいる)、他の著名投資家や学者などが緻密に研究を重ねて、いろんな理論やデータの蓄積は非常に充実しており、敗者にならない確率は日本株より高いと思います。

世界大恐慌の悪夢が覚めない時期からベンジャミン・グレアムはコロンビア大学で株式投資理論を教えていたのですよ。今の日本の大学で株式投資の理論や実践を教えているところってどれぐらいあるのだろう? 少なくとも、学生がそういった講義のある大学を目指して日本の大学を受験するというのはほとんど聞いたことがない。

将来が過去と同じになるのか? これは永遠の課題で、誰にもわかりません。将来は円高の進行率よりも米国株のリターンが悪くなる可能性は残されています(ここ3年ではその傾向は見られませんけど)。

一方、中国・インドあるいはアセアン諸国の成長及び株式リターンの将来が約束されていると言えるのでしょうか?

日本株が復活・躍進する可能性もありえなくもない(個人的には懐疑的)。

 
いずれも将来はわからない、しかしながら過去の実績・ノウハウは米国株式市場により蓄積されており、株主還元意識の強さ、株主目線の強さは、相対的に計算できる対象と思います(Buy & Holdを前提とした場合)。

 
さらに、投資目的(将来の年金インカムリターン)に照らし合わせると、持続的成長を意識しながら経営を行う一部の先進国企業(特に米)は安心感が持てます。

 
したがいまして、結論としては、ドル/円レートは株式投資(米国株)においては取るに値するリスクと考えています。



応援よろしくお願いします!






4 件のコメント:

  1. 期せずして現状の為替水準が決して過度な円高ではないことの証明にもなっておりとても面白いですね。長期的に見れば為替の変動はインフレ率で相殺され、インフレ以上のリターン(実質リターン)を生む企業への投資が全て、と。
    (当方も不定期ながらブログを書き始めました)

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    1. 面白そうなブログなので、リンクさせていただきました。
      今後ともよろしく。

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  2. 360円の固定円レートから現在のレートを適応しても
    未来は占えないのではないでしょうか。当時は元と同じように
    過小評価されていましたから、インフレ率以上の差がS&Pのリターンに影響を与えます。

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    1. 日米のインフレ格差と円高の進行率は長期でみた場合概ね同じようなレベル感で推移しています。もっとも1982年以降、日本のインフレ率は1%未満(92年以降はほとんどゼロインフレ)で推移していたので、アメリカのインフレ率≒円高進行率となっていますので、日本がデフレで推移すれば、アメリカのインフレ率以上の円高もあり得ると思います。

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