2012年12月16日日曜日

長期投資で受取配当を効率よく増やそう その3






配当を雪だるま式に増やすための方程式? 今回は保有株式の増配について。

X A + B + C – D – E ± F

X=受取配当金の総額

A=ニューマネーで買った株式のもたらす予想配当額

B=受取配当金を新株購入に再投資した場合の予想配当額

C=保有株式の増配

D=保有株式の減配

E=保有株式を売却した場合の予想配当額の減額部分

F=外国株における為替影響額

 
次に考えるべきことは、Cの数値を出来るだけ大きくすることです。ここで、連続増配株、Dividend Growth StockDGS)の出番となります。DGSは上記D(減配)の可能性も極めて低いと言えますので、一石二鳥になります。

連続増配株を保有していると、勝手にXが増えていきますので、まさしく金の卵を産むガチョウのような存在です。継続的な自己資金の投入(A)以外の手段で配当を増加させるためのキモになります。配当を増やし続けるための仕組みづくりに欠かせません。

連続増配ができる要件については今更記述するまでもありませんが、持続的に一株利益(EPS)を成長させることができる企業ということになります。

最初の数年間は配当性向を引き上げることによる連続増配も可能ですが、長期にわたり連続増配を実行するためには、本質的な事業の効率的成長が求められます。

ここで気をつけなければならないことは、一株配当の増加率だけに目を取られてしまうと、Xの絶対値が相対的に小さくなることもあるということです。


例えば、配当利回り1.8%で増配率の年率13%の企業と配当利回りが4.5%でも年平均の増配率が4%の企業の受取配当金を比べてみましょう。

1000(例えば米ドル)を配当利回り1.8%、一株配当の年平均成長率13%の株と同じく4.5%で年率平均4%成長の株の受取配当金総額を比較した場合、12年後に前者が後者に追い付く結果となります(話を分かりやすくするために税金を省略)。
 
 

何となく、前者をIBM、後者をベライゾン(通信)というイメージ。

一株利益・一株配当金を年平均13%で成長させるには、結構大変であります(注:EPSの成長分だけDPSが増加すると仮定)。堅実に手を打つ場合には、後者の選択が無難になる可能性もあります。前者にはそれだけ成長リスクがあるともいえます。

したがいまして、出来るだけ高い配当利回りで、出来るだけ持続可能な一株配当の増配率の高い企業を選択するということが無難になってきます。

持続可能な一株配当金の適切な成長率を考えるにはどうすればいいのか、と言えば、DGSの実績をつぶさに調べることが第一に挙げられると思います。

そうなると、欧米のアイコン企業に行きついた、というのが私のこれまでの体験です。考え出すと結構アレコレ変数があるのですが、落ち着く銘柄はシンプルです。ミスターマーケットがくしゃみする様な弱気相場で、こういった銘柄を買っておくことが、もっとも理にかなっているのではないか、と思っています。


参考例


50年も連続で増配している企業に、ちょっとの不況で、増配をストップさせるとは考えにくいですよね。リーマンショック、アジア通貨危機、湾岸戦争、2回のオイルショックといった歴代の不況時にもせっせと増配していた企業です。

もっとも、こういった企業だけを買っていると、ポートフォリオがダウ平均化してしまいますので、これら以外の企業も探しているところです。

参考までに私のブログにリンクしてある DRIP Investing resources

25年以上連続増配を継続している U.S. Dividend Champion企業106社掲載され、25年未満でも連続増配している企業なども掲載されています。こういった候補先からスクリーニングしていくのも方法かもしれません。


では、年率何%程度の増配を期待すべきか、という点について。

 
ちなみに、上記のHPChampion106社の過去5年、10年の年平均増配率はどちらも7.5%と言うことになっています。ただし、過去3年だとリーマンショックもあったので、6.0%までに下がります。

したがいまして、米国株の場合、ポートフォリオ全体で、6%以上、出来れば7.5%以上の年平均増配率を組むようにしたいものです。

 

一方、日本株の場合、こういったデータベースの整備状況が不明(私は存じ上げない)なので、何とも言えませんが(そもそも25年以上も連続増配している企業がないはず)、米国企業-2.0~3.0%の範囲で、持続的な増配期待が持てそうな先をチョイスすればいいのではないでしょうか? (2%とか3%というのは長期的な日米の金利差・インフレ格差なので、評価水準を米国に合わせるとこれぐらいでいいのでは?と思います。過去の実績だと、どうせこの金利の差が円高となって、実質リターンは収斂される。安部さんが政権とって本気でインフレ2%を実行すればこの限りにあらず)

ただし、日本企業の場合、5円とか10円単位で増配を決定するケースが多く、前年比何%増加というのはあまりなじまないため(花王は1円単位で決めますが)、3~5年程度で平均して年率換算すれば4~5%の増配の継続が持続的に期待できそうな企業、というレンジで見た方が、実践的だと思います。


昨今は日本企業でも、配当を真剣に考えている企業も増えていますので、CFマージンが厚く、配当性向が低く、配当利回りの高い銘柄は長期保有候補と言えると思います。特にグローバル観点で競争する企業(注:営業面で海外を向いていなくとも、投資家が海外企業との比較でチョイスする様な大企業、例えばNTT、KDDI、ベネッセなど内需株も十分選択肢に入る)は、良いのではないかと思います。

グローバルな競争=外需と決めつけないように!! 投資家獲得のための競争に国境はありません。

さらに、先進諸国は高齢化社会に既に突入しており、リテラシーの高い年金世代が増えると、当然増配と言うことに声が上がるので、日本企業も配当政策の充実化は差し迫っているものと思われます。

 
しかしながら、日米連続増配株の選択基準を人事採用にたとえるなら、米国株は実績採用、日本株はポテンシャル採用になると思いますので、日本株の採用にはより「採用責任」が問われることになります(要するに慎重に、ということです)。









応援よろしくお願いします!

 


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