2018年4月9日月曜日

「プライベートバンカー 驚異の資産運用砲」(杉山智一著)を読んで

断片的に聞きかじっていた「プライベートバンカー」という実態。
興味はあったものの、お金持ち相手の商売であり、自分とは縁がない、と思っていたので、積極的に調べていませんでした。

しかし、ひょんなことから一度読んでみるか、と思って買った次第(アマゾンベストセラーらしい)。


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結論から言えば、お勧め度は5段階評価で言えば3~4。

個人的に参考になった、印象深かった点

キャリアアップ術 
杉山氏は野村證券→三井住友銀行→BNPパリバ証券→バンクオブシンガポール(シンガポール在住だった)→独立

というステップを踏まれているが、筋道の立った転職です。典型的な営業マンの転職ですが、自分のコア顧客をしっかり引っさげて転職する術や顧客との信頼関係などは、キャリアアップ志向の人には興味深いのではないでしょうか?

それほど参考にならなかった点
「スギヤマスペシャル」と呼んでいる、彼の運用提案内容

内容まで書くとネタバレしてしまいますが、富裕層に安全性を重視したうえで高リターンを出す、というコンセプトなので、我々のような積極的にリスクを取って運用する、というのとは少し違っているから仕方がないですね。

簡単に言えば(ネタバレと言いながらちょっとだけ)、

ある程度まとまった資金を預ける→それを安全運用資産(米国債など)で運用する→それを担保に銀行(一応、プライベートバンクですから)から借入を行い、レバレッジを利かせて、海外の保険やハイイールドボンドのETF等を買う。

資産運用の器は海外に設立する投資法人で、税率は割安になるので、実質運用利回りは10%内外になる、

こんな感じでしょう。 銀行の融資機能を使ったレバレッジを活用して、世界で最も有利(かつ銀行担保になり得る)な投資商品で運用する、みたいな感じです。

(私のかつていた銀行もバブル時代に資産運用向けに個人向けローンを出しまくって、顧客と訴訟問題に発展する案件が多数あって、辞めている。もっとも今のプライベートバンクではそんなリテラシーの低い人と取引しないだろう)

私も含め、このブログの読者は、保険で家族・遺族に財産を残す、という発想はあまりないでしょう(笑)。したがって、本当の富裕層なら考える、この発想はあまり参考にならなかった。

ハイイールドボンド(言い換えればジャンク債)は比較的高利回りで、分散投資すれば比較的安全だ、という杉山氏の主張は、個人的にはちょっと違和感がある。資産(債券)の時価は揺れ動くし、だったら連続増配株の方が安心できるなあ、なんて思いました。

ただ、彼は、「独立的な立場で、担当顧客の利益にかなうサービス」という彼のプライベートバンカーとしての中核信念のようなものを貫いて、独立に至ったようなので、芯が通った人で顧客の信頼も厚いのではないか、という印象を持ちました。

尚、プライベートバンクに支払う顧客の手数料は、売買手数料は一切ないようで、マネジメントフィー(資産運用残高)のみのようです。料率は1.5%程度が相場のようです。

プライベートバンクの活用に向いている人

既に相当お金があって、資産運用はよくわからない、税金でむしりとられるのが嫌で、減らさず無理ない範囲で増やしていきたい、やり方は信用できる人にお任せ、こういった人向けですね(言われてみれば確かにそうだよな)。

「すでに相当お金がある人」ここがポイントで、我々のように自らの運用で叩きあがっていくタイプは、運用術に関してはよく理解しているはずです。

成功した起業家、相続した資産家、経営者・弁護士・開業医等本業が忙しい人のような人向けでしょうね。

ビジネスマンとしての杉山氏には深く印象に残ったが、プライベートバンクは個人的にはそれほどでもなかった。そんな感じです。

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