2018年3月20日火曜日

IPO 新規上場基準の緩和に対し投資家としてどう考えるべきか?




なかなか示唆に富んで考えさせる記事だった。規制緩和はいいことばかりとも限らない。

世界の取引所、緩む株式公開ルール 企業優位で選別
日本経済新聞 電子版 2018/3/19

要約すると、コーポレートガバナンスを厳しくする(メリハリをつける)観点から、新規公開株について、審査をいろいろ厳しくしているのだが、投資家から見れば魅力的な案件は例外的に扱わないと、取引所そのものの地盤沈下を招く可能性があるので、取引所そのものがジレンマを感じている、という感じか。


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具体例としては、ソフトバンクを挙げている。

ソフトバンクはソフトバンクグループという持ち株会社があり、その下に事業会社がぶら下がっている(らしい。例えばヤフージャパンなど)。

通信事業のソフトバンク社もソフトバンクグループの100%子会社なのですが、これを上場させ、最大2兆円の資金調達を行おうとするもの。

親子上場になるため、東証は否定的な見解らしいが、ロンドンでは可能な模様。また、投資家から見ると、東証がこの案件を受け入れないとすると、東証自身が「自国の大企業に見切りをつけられた」取引所とのレッテルを貼られてしまう可能性を危惧しているらしい。

アリババがかつて、香港で上場しようとしたら、ガバナンスで拒否されて、NYSEでIPOをしたところ、今日の大賑わい、となってしまった例があり、東証もジレンマを抱える、

こんな感じの内容です。


なかなか複雑な感じですね。ソフトバンクグループは確か社債格付けが「投機的」という位置づけであり、いわば「ジャンクボンド」の扱いを受けています。

「ジャンクボンド」指定をされると生保などの機関投資家は投資不適格となってしまい、ソフトバンクの社債が買えません。

したがって、会社側は個人向け社債を発行し、買ってくれない機関投資家の代わりを探していました。


「そんな会社の株を買うのか?」という人と「あの会社は非常にエキサイティングだ。ぜひ買いたい」という人(ちょっと極端だけど)がいて、後者のニーズに応えるということか。

取引所には、上場審査している手前、IPO企業にはそれなりの「お墨付き」を与えていることになっているものの、個別の投資判断は投資家にゆだねられているはず(もっとも、その判断材料の前提が上場審査なんでしょうが)。

最後は、投資家自己責任になるのかなあ。資金を出す、出さないは投資家の勝手ですからねえ。

ここで問題となるのは? 機関投資家で、証券会社系列の資産運用会社などの投資判断の独立性が疑わしい人たち(最近はそうでもないという意見があるものの)。

ファンドマネージャーの腹の中は買いたくない、と思っても、いろいろ「忖度」を含め、買ってしまう、というパターン。

それとインデックス、ETFなどの買。知らず知らずの間に買っていて、企業を甘やかす?要因になってしまわないか?

ETF化、インデックス化が進むにつれ、みんなが少しずつ、「被害者」になってしまわないか?

ポリシーある投資家たちには、直接の被害がない話だと思いますが。

イケイケ投資家が暴走すると、相場が荒れるので、コンサバ投資家にも被害が及ぶ可能性もありますね

もっとも、バリュー投資家はそういった荒れた相場を歓迎するかもしれませんが。

個人的には、世界の大手取引所が、G7のような会合の場を持って、世界共通の上場ルールなどを作って、一定の歯止めをかける方向性に行ってほしいなあ、と思いました。

審査基準が甘い=投資家の見る目は実は成熟している、だといいのですけど。

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