2016年12月10日土曜日

高いのか安いのか? くすりのお値段

このところ話題になることが多い薬価。日本でも、アメリカでも、英国でも、フランス・ドイツでも様々な議論がある。 

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原因は①高齢化に伴う需要増加、そして②生活習慣の乱れによる比較的若い世代での需要増加、③特許切れによるジェネリック薬の攻勢、④そして技術の発達により、(従来と比べてより)「効く薬」の開発が難しくなっているため開発コストが高騰している、などが理由にある。

① 高齢化に伴う需要増加は単純にわかりやすい。

② 生活習慣の乱れ、というのはやや乱暴な言い方だが、肥満やストレスなどで比較的若い人が糖尿病になったり、がんになったりするようになった。また単に人口が増加したことにより、罹患率は変わらずとも罹患する絶対人口が増加した、というのもある(しかし、罹患率も増加傾向にある)。

③ 特許切れによるジェネリックの台頭は、痛しかゆしの面がある。いつまでも特許を認めているとイノベーションの妨げになる。しかし、現在のように承認されて販売されて、10年前後で特許切れ(もちろん、特許を「延命」させる手段はあるが)は、さすがにきつい印象がある。

販売後、最初の2年程度は普及活動時期なので、フルに売り上げが立たず、特許切れ前2年ごろから、投資家は特許切れを折込にかかってくるので、株価は重くなりがち。

④ 開発コストの高騰は、「アンメッテッドメディカルニーズ」を満たす薬のために、製薬会社や医療機器メーカーがやるべき使命につながっているので、ある程度仕方がないかもしれない。

ただ、薬の値段を単純に、医療保険の範囲内で議論するのはおかしいと思う。現役世代の人が罹患して、回復できれば、それだけ社会的損失がカバーされるはずだからである。

例えば、50代のサラリーマンがC型肝炎に罹ったとして、かつてならがんになって死に至った可能性があった病気だ。
これが、ギリアドサイエンシスの「ハーボ二」を服用することで、完治して社会復帰して、例えば上場企業の部長さんとして、社会利益に貢献できた、とすれば、経済的価値は大きいはずだ。
彼には家族もいるだろうし、家族も引き続き学校に安心して通える。

それが、「ハーボ二」を確か3か月服用して5百万円~8百万円(保険適用前)する、というのはむしろ安い(今までなぜこの種の薬がなかったのかという疑問があるが)と考えるべきではないか?

アメリカでもヒラリーさんに続き、トランプさんまで「薬が高い」と発言するになって今後物議を醸しだしそうだ。

英国の場合は、上記の「社会的な損得勘定?」を視野に入れた薬価の在り方が議論されているようだが、その計算フォーミュラで色々議論があるようだ。

潜在的な患者???であり投資家である我々から見れば、医療機器メーカーや医薬品メーカーの開発意欲が促進され、納得感があって、なおかつ「手が届く」程度の薬価を望みたいものです。

日本の場合だと、「地獄の沙汰も金次第」というのを医療現場でドライにできない感情論が大きいようです(自費診療、「患者申し出制度」の導入に喧々諤々だった)。また、日本人最大の敵?「嫉み」を餌とするマスコミさん。誰かが儲かっていると批判、非難で潰しに係る(もちろん、そういったネタを好む読者リテラシーこそ問題だと思います)。

あと、薬の値段と薬の効き目も注目したいですね。小野薬品工業のがんの治療薬「オプシーボ」は今、旋風を巻き起こしていますが、これを服用したとしても、20%から30%ぐらいの患者さんしか効果的な効き目がないようなので(もちろん今後の開発次第でこの率がアップする可能性は十分ある)、それで1000万円前後もするの? っていうドタ勘がある。

さらに、批判非難を覚悟で申し上げれば、そんな高い薬(オプシーボに限りませんが高額医薬品全般)を(後期)高齢者に投与する意味があるのか? っていう言いづらい問題もある。これは費用対効果しか考えない「資本主義の権化」の発想だ、と滅多打ちに会いそうな発想だが、個人的には「そこまでやらんでもええやん」(標準語に「翻訳」すると「そこまでする意味がない」って感じ)って思っちゃうなあ。ああ、情け容赦がない。


しかし、今まで通りでは通用しなくなっていることは事実なので、世界で建設的な議論がされることを応援しています。

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