2015年8月11日火曜日

Kinder Morgan Inc.(KMI)株はどうなっているんだ?

いつも申し上げますが、投資判断は個人でお願いします。私につられて(釣ったつもりはありませんが)KMIを買った人は現時点では大きく含み損を抱えているでしょうから。


KMI株がこのところ急落している。特に決算発表後は下落率が大きい。
何か事件があったのか検索してみたが、大きなニュースは発表されていない。
単に9月利上げが確実かと市場が推測しているので、ドル買い・コモディティ(特に原油)売りの一環で売られているのか、KMIのファンダメンタルズや事業そのものに原因があるのか、現時点ではわからない。

むしろ、もっと積極的に投資するような記事が出ているぐらいだ(傘下の石油タンカー会社がまた新規で船を造るという話)。


上のチャートは年初来のKMIAMLPというMLP(マスターリミテッドパートナーシップ)のETFのチャートを比較したものだ。

KMIは株式会社化したが、ルーツはMLPにあるのと事業内容はどちらも基本的には石油・天然ガスパイプライン事業がメインであり、一応比較対象としてみた(青線がKMI)。

おおむね同じような動きをしているが、KMIの方がややボラティリティが大きいのか、現時点ではアンダーパフォームしている(期間を長期にすればKMIの方が良い動きになる)。

現在株価は32ドル台、予想配当利回りは、仮に1株配当が2ドルとすれば(今期中には2ドルにすると経営陣は半ばコミットしている)、予想配当利回りは6%台とかなりの高率になる。特にこの2週間程度の下げがきつい。

KMIの株価に対する弱気派の意見はうんざりするぐらい聞いてきたので、これが最近の急落理由とは思えない。

いわく
負債比率が高すぎる(Net Debt/EBITDA倍率 純有利子負債:借入金現金預金 が償却前利益:営業利益に減価償却費やのれんの償却など非現金支出を控除したもの の何倍あるか を示す指標)。これが5.5倍。 確かに高いと思います。せいぜい4倍台ぐらいが限度かと。

したがって金利が上昇すると、支払利息が増えるので、配当原資が小さくなり、増配やDPSが維持できなくなるのではないか?

今後のパイプライン等の受注残の実現可能性に疑義あり(特にトランスマウンテンというカナダ西部のパイプライン建設が地元の反対にあって、建築許可に苦戦している)。この金額が比較的大きい。

一部で原油の生産を行っているので、現在の油価環境では採算悪化が大きく業績への影響が心配である。

何となく、原油や天然ガス価格が下落して、生産者側の業績も悪化するので、パイプライン会社も苦しいのではないか、というイメージ。

DCFDistributable Cash Flow)がDPSに占める比率が減ってきていて、タコ配懸念がある。

楽観派の意見としては
2004年~2008年の金利上昇局面でも、立派に増配してきたので、金利が上昇したからと言って、増配ができないわけではないし、対策やシミュレーションはしっかりやっている。

カナダの件は、地元に少しずつ説明を行っていて、かなりの自治体や原住民は支持してくれている。もちろんまだ了解を得ていない先は、粘り強く交渉し、政府の最終許可を待つことになる。

KMIは収入に占めるフィーの割合が大きいので、油価に左右されにくい。エネルギーは需要があって初めて生産者がある。景気回復に伴う需要増加と、発電会社が環境規制と天然ガス価格の下落もあって、石炭発電からガス発電に切り替わりつつある。したがって需要は今後とも堅調推移の見込み。

原油生産に関しては、売価を予約しており、2015年では$7681%ヘッジがかかっている。2016年は$7558%分予約している、と電話会議で言っていました。

また、みなさん忘れたかもしれませんが、シェールガスLNGが2017年になれば対日輸出が始まります。KMIは確か三菱商事系のLNGプロジェクトの天然ガスを運ぶパイプラインを請け負っていたと思います。

また、先日、シェル石油と合弁で運営予定だったLNG輸出基地の持ち分をシェルから買い取って100%化しています(シェルがLNGを買い取ることは契約で決まっている)。




ジム・クレイマー氏は一貫して強気姿勢です

ちなみに、当たるも八卦、当たらぬも八卦、あのジム・クレイマー先生は、いつもの‘Lighting Round’で、こんなことを言っています。
Kinder Morgan (KMI): "This complex is going down so the rest doesn't matter. But I say be a buyer not a seller." 2015/7/31

Switching to energy stocks, Cramer said Williams (WMB - Get Report) "is really a buy here" and that the stock is "very, very cheap." Cramer added the CEO of Kinder Morgan (KMI), Richard Kinder, is buying back stock of his company. 2015/8/15

特におかしなことはなさそうな雰囲気です。ジムはここのオーナーのRichard Kinderさんが大好きですからね、多少のバイアスもあるかもしれませんが。

カナダドル安でEnbridge Inc.の株も安くなっているので(業績見通しはこっちの方が、個人的には自信があるのだが)、これもよさそうな気がしてはいます。

これ以上石油・天然ガス系は控えようか、と思っていたのですが、KMI株が急落して、その理由は相場が弱気なだけ(個別企業の原因ではない)というのがクリアになれば、考えてしまいます。配当利回り6%ですから。

しかし、金利高で条件反射的に売られてしまう、ということであれば、まだ下がるのかな?
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