2015年8月10日月曜日

「日本株はバブルではない」 藤野英人著 ダイヤモンド社 を読んで


早速読みました。感想文を書いてみたいと思います。
まず、株式投資家(個別株や投信の人)は読むべき本だと思います。参考になる点がたくさんあります。


特に第5章「今こそ、日本株を買いなさい」では、具体的な銘柄選択の藤野氏・ひふみ投信なりの基準を提示していて、(現時点での該当する)具体的な銘柄まで紹介しています。
私が過去に取り上げた「朝日印刷:3951」にも触れています。

 具体的に書くとネタバレしてしまいますが、おおむねいつも彼が言っていることと同じかもしれません。今回はROEにスポットが当たっているように思います。
  1. ビジネスに何らかの強みを持ち、「高い参入障壁」を築いている
  2. その会社の製品・サービスに対する「需要の拡大余地」がある
  3. ROE8%以上で今後さらに改善する余地がある
  4. PER20倍前後」を目処にしてできればそれより安い水準

という感じです。

但し、機械的にこれらの基準で足切をするのではなく、個別具体的に見ていくことも重要であるといっています。上記の朝日印刷はその例で、今後改善余地が見込まれるとか高い参入障壁をもっているか、など総合的に考えて銘柄チョイスをしましょう、という事です。

前半部分は、アベノミクスで日本企業と機関投資家の目の色が変わるはずなので、日本の株式相場はポジティブだ、という感じのことが書いてあります。

  • 伊藤レポート:企業のROE8%ぐらいは達成しなさいという事が書いてある
  • スチュワート・シップコード:企業の持続的成長を支援するよう、まじめに投資家として責任をもちなさい、という事を言っている(スティールとかはダメよ)
  • コーポレートガバナンス・コード:上場企業は株主をだますようなことはするなよ(例3割増資とか)という行動の指針
というアベノミクスのコーポレート・ガバナンス改革ともいうべき成長戦略の一環で、経営者もファンドマネージャーも真面目に株式相場に向き合うから、という根拠です。
(内容は私のかなり乱暴ながらも、ざっくりとした理解ですので悪しからず)

要するに全体としては、

アベノミクスで株価が上昇する前提は整った。なぜなら企業も投資家も真面目に株式市場に向き合うので、市場にとってポジティブである。

その中で、こんな条件の、これからのトレンドをうまくとらえたこんな感じの企業に投資したらよい。

個別銘柄投資が難しいと思うのなら、私(藤野氏)が「これは」と自信を持って推薦するこの投資信託を買いなさい(当然自分の投信が入っている)。大手証券系のサラリーマン投信は止めなさい。

こんな内容です。




そして、私の感想・意見ですが、
日本株はバブルなのか?
バブルではないと思います

しかし、ドル円レートは今過去の経験則から考えると、大幅に円安水準に傾いている、と思われます。ドル円相場はバブルかもしれません


後はどうしても気になる、この一言「This Time is different」というのは、結局あとで振り返るといつも同じだった、という事もあります。

次の不況で、1ドル75円になるとは思えませんが、90円前後になることは覚悟した方がいいと思います。

その時、日本株・日本企業がどうなるのか、という点に留意したほうがいいと思います。
もちろん、藤野式では、過去20年間そのような時期があった(ITバブルの崩壊とリーマンショックや大震災)にもかかわらず、大きく儲けることに成功しているらしいので、説得力がありますが、相場のマグネチュードは想定しておくべきでしょう。

藤野氏は日経平均をあまり気にしていませんが、どうしても日本株の相場の温度を測定するのに、日経平均が便利なので、日経平均でいえば、12000円~13000円レベルへの暴落を念頭に置くべきではないか、と考えています(このレベル感にあまり根拠ありませんが)。

もちろん、日本企業そのものが、円高に懲りて、「円高耐性」が出来ているかもしれませんが、円高になるとインバウンド需要も落ちるでしょうし、サービス系の企業でも積極的に海外展開していますので、これまでとはまた違った影響が円高で出てくるかもしれません。百貨店・コンビニや外食企業が円高で業績下方修正するかもしれません。

個人的には、イケイケの話ばかりではなく、こういったリスク要因も本に加えてほしかったと思います。

物事すべていいことばかりではないはずです。ましてや株式市場なんて、想定外のことばかりですから。

当然藤野氏は、為替や金利を理解していると思いますが、そこは編集方針などで割愛されたのかもしれませんね。
また、たとえ次の弱気相場が来ても、また強気相場に戻って、その時に今の高値を更新すれば、今の相場が歴史の転換点だった、と言えるかもしれませんが。

したがって、最近投資を始めたような人は、藤野氏の本に、龍谷大学竹中教授のこの本をお読みになられて、為替相場や金利の基本的な原理も合わせて理解されると私の意味がより一層理解できると思います(ただどちらかと言えば、竹中氏は逆張り投資派ですが)。





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