2015年8月16日日曜日

25年以上連続増配をする配当貴族銘柄の紹介 S&P500 Dividend Aristocrats #6 Chevron(CVX) 27年連続増配 その2 結局増配できるの?


では、連続増配はどうなるんだ、という点について
ちょっと長いですが、連続増配記録の本質にかかる部分ですので、詳しく知りたい人はお付き合いください。


まず、連続増配という概念というか定義について確認しておかなければなりません。

毎年増配を繰り返すことが連続増配である、という意味ですが、「毎年」というのは、カレンダーイヤーまたは決算年度(ふつうは前者をさす)で配当金が増えていれば、あとで振り返れば、毎年増配したことになる、というのが一般的に浸透している概念です。

どういう事かと言いますと、

たとえば、2014年の第1四半期に増配しました。2015年も第1四半期に増配しました。ふつうはこれで2年連続増配、となります。

しかし、2015年の第1四半期ではなく第4四半期に増配しても、たとえば2020年ごろに振り返った場合、2年連続増配したことに計算されているのが現状です。

12か月以内に増配することのみが連続ではないのです
上記の例ですと、12か月以上増配間隔があきましたね。

1年目:1Q $1.00 2Q $1.00 3Q $1.00 4Q $1.00 合計$4.00
1Q$1増配
2年目:1Q $2.00 2Q $2.00 3Q 2.00 4Q:2.00 合計$8.00

しかし、4Q$1増配
2年目:1Q $1.00 2Q $1.00 3Q $1.00 4Q $2.00 合計$5.00

3年目:1Q $2.00 2Q $2.00 3Q $2.00 4Q $2.00 合計$8.00

4年目:1Q $2.00 2Q $2.00 3Q2.00 4Q 2.50 合計$8.50
この場合3年連続になります

実際3年目は増配がありません。しかし、暦年では、1年目$4.002年目$5.003年目$8.00 4年目$8.50と連続増配になっています。

さて、CVXですが、例年ですと4月に増配が発表されます。しかし、第2四半期決算発表時点(7/31)では、まだ発表されていません。

連続増配記録が途絶えた、と狭義では考えがちですが、一応投資家の間ではそこまで厳密に解釈はしていないようです。

実際CVXの過去27年間の四半期ベースの配当情報がこちらに掲載されています。


これによれば、1997~2000年、まさにアジア通貨危機が発生して、ドル高になって、原油価格が下落した時期があって、今に似ています。

1998年の1Q$0.61の配当を発表し、次の増配は99年の第4四半期の$0.64で、その次の増配は2001年の第4四半期($0.70)となっています。さらにその次は2003年の第3四半期です。1998~2003年の6年で増配は3回です






2四半期決算でCVXCFOは電話会議でこんな感じのコメントでした。

Neil S. Mehta - Goldman Sachs & Co.

So, Pat, I just want to talk philosophically about how you're thinking about the dividend and your strategy there. Didn't raise the dividend in the third quarter, but the way we read the comments was that we'd look for you to raise it here in the fourth quarter even if it's a nominal level, and it's a priority to continue to raise the dividend going forward. I just wanted to confirm that and then get your thoughts on the broader dividend strategy.


趣旨(3Qに増配しなかったので4Qに増配するようにコメントではうかがえる。貴社の配当政策全般について、再度お伺いしたい)

Patricia E. Yarrington - Chief Financial Officer & Vice President
A good question. So our broader dividend strategy hasn't changed. Our financial priorities haven't changed. Maintaining a competitive and growing dividend is our absolutely number one objective. What has changed, though, is obviously our immediate financial environment, and so the board chose not to raise the dividend in this quarter. I think that's a prudent action at this point because we're not running as strongly, certainly, as we would like on both earnings and cash flow because of where commodity prices sit. And it's not – I would say it's probably we're not in a very stable either revenue or cost environment. We have a lot of fluidity on those two components here.

趣旨(配当政策全般は変わっていません。増配と競争力ある配当は当社の最大の政策の一つ。変わったのは環境です。金融環境とコモディティの価格です。当社はまだ収入とコストの安定した状況にあるとは言えません)

I will say the board is very committed to growing the dividend and seeing our pattern of dividend increases every year materialize, but what's important here is that it's the annual dividend payment that has moved up every year. That doesn't mean you get an increase in the per share every single year, because we typically have moved them in the second quarter. So it's an annual dividend payment history that applies to the 27-year factor. So I think the board is committed to that. We are committed to that.

(年間の配当は毎年上がっているが、それは一株配当が1年毎に上がっているという事ではない。それが27年連続で増配してきたことの意味です。この意味なら取締役会は増配をコミットしていると思います)

So I would like to be able to say our entire objective is being able to grow the dividend when the time is appropriate. 以下省略
(時期が来れば、増配できると思います)
例によって赤字は筆者。
現状の四半期配当実績です。仮に第4四半期に増配がなくとも、連続増配が途絶えたことにはなりません。

2015年が終われば、巨大プロジェクトの一つGorgonが完成し、2016年から収益化します。
2016年が終われば、今度はもう一つの巨大プロジェクトWheatStoneが完成し、収益化が予定されています。

この2つのプロジェクトで、投資CFのうち、150億ドル内外を出しているはずです。
また、今年はメキシコ湾岸の新プロジェクトが始動しました。

また、経営陣は従来、ブレントベースで$70の社内油価レートを設定していましたが、今回それを下方修正して、今後の見通しを立てたといっています(いくらかは言及しなかったが)。

これらを想定し、減配はないだろう、と個人的には信じています2015年の増配は見送られ、2016年の「適切な時期」に少し増配する可能性を信じています。

歴史的に見て、この会社の財務はメジャーでもかなり堅実なので、信じるしかないですね。石油株は一つは持っているつもりなので。
もっと悲観になれば、チャンスですかね。

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