2014年11月24日月曜日

「リスクを取らないリスク」堀古英司著 を読んで

リスクを取らないリスク
リスクを取らないリスク
著者:堀古英司
価格:1,566円(税込、送料込)
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日本でアメリカ株に投資していて、堀古氏を知らない人は少ないだろう。

彼は現在、ニューヨークでホリコ・キャピタルというヘッジファンドのファンドマネージャーです。

彼の経歴は、関西学院大学を経て、東京銀行に就職し、外為ディーラーとしてNYへ行き、そのままあちらで脱サラしたそうです。

年齢や同じ関西人であることなど似ているし、彼の相場予想は、おおむね当たっている(しかし、金投資はどうなったんでしょうね。あとロイターのインタビューで1ドル150円を預言?していましたが、これはちょっと言い過ぎでは?)ので、楽天証券のセミナーでは必ず聞くようにしています。

そんな彼の著作なので、読んでみました。

 

この本を読むにあたって、彼は日本の銀行出身者とはいえ、今は株式投資家ですので、本質的に株主の意見が前面に出ていますので、それを多少割り引いて読んだ方がいいかもしれません。

しかし、その目線は、平均的なアメリカ人投資家のそれと大差がないので、日本に徹底的に詳しいアメリカ人投資家の言い分、ととらえても支障がないでしょう。

 

前半部分は楽天の講演会に出席していれば、おおむね似たような内容です。日本の金融経済運営者はいつも経済活性化のためにやるべきことと真逆のことを行うのが情けない、といった感じです。

そのような政策にはリスクも付きまとうが、リスクとリターン(良い点と悪い点)を天秤にかけて、それでもポジティブな結果が見込めるのならリスクを取るべきだと主張しています。

具体的に、彼は2010年頃から盛んに、日銀を批判していました。FRBの国債買いに対抗しないと、円高になる。円高になると日本は不況になる。不況になると失業者が増えるし、自殺者も増える。アメリカは日本に失業を輸出しているし(製造業の拠点が海外に移ってしまった)、日銀はサボっていると批判していました。

この時、国内では、日銀が金融緩和することのリスクばかり論じられていましたが、金融緩和をしない結果何が起こると予想されるのか、の議論はほとんど無視されるという偏った議論しかできない日本を嘆いていました(消費税増税議論も同じような感じですね。上げるとどうなるのかの議論はあまりされない)。

 

以下は彼の持論的な部分の概要になります。彼は、前提として、①人間は弱いものである、②人間はリスクを回避したがるものである、と見ています。

人間は楽をしたがる生き物で、限界をブレークスルーすることに躊躇してしまうのが本質であるというものです。

人間はリスクを回避したがるもの、というのは失敗を恐れる生き物である、とも言い換えることができるように個人的には思います。失敗を恐れるがあまり、「無難」な選択をしがちであると。

 

しかし、世の中は資本主義社会です。資本主義社会の中で成功した人は例外なく、失敗を恐れずブレークスルーができた人のはずです。ビル・ゲイツ、スティーブ・ジョブスをはじめ、松下幸之助もそうでしょう。

そういった人に褒美を与えるのが資本主義で、それがあまり機能しない日本の現状を嘆いているという感じです。

世の中格差社会になっていくのは、リスクを取ってブレークスルーをした頑張った人にご褒美を与えるシステムになっているので、何もせずに(リスクを取らずに)じっとしていれば、ますます格差が広がってしまう、と警笛を鳴らしています。

基本的にはサラリーマン向けに、ではどのようにリスクを取っていくか、についても著書では述べられていますが、ここでは割愛します。

 

個人的な感想は、ほぼ全面的に同意する内容です。

堀古氏がこの本を読んでほしい人は、リスクを取りたがらない人だと思います。しかし、そういった人はこういった本を読まさなそうですし、著作で共鳴して、俺も頑張ろう、という人は思ったほど出てこなさそうに思います。

一方、私の様に、彼と同じように米国株に投資しており、あちらの考え方も理解している身からすれば、ある程度予想された内容かもしれません。

こんな人なら読む価値がある、と思うのは、
これからアメリカ株を始めようと考えている人、最近始めた人→堀古氏は楽天のセミナーや寄稿で頻繁に出て着るくる米国通の人です。彼の相場の見方は参考になるので、彼を知る上ではよい読み物。


新聞をよく読むことが社会や経済の勉強だ、と思っている人→ご一読されると、日本の新聞がいかに狭い社会の中で記事を書いているかを思い知るかもしれません。



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4 件のコメント:

  1. 読もうと思って読んでない(たぶん書いてあることが想像できるw)んですがレビュー参考になりました。
    ゴンさんのブログ同様、堀古さんのブログは毎回楽しみにしてます。
    堀古さんの記事を読むと株式にやたら強気になってしまう効力がありますね。

    出版されてからちょうど10月中旬の株価調整そして追加緩和があったので良いタイミングでしたね。

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    1. ロン株さん、コメントありがとうございます。
      >読もうと思って読んでない(たぶん書いてあることが想像できるw)
      まさにおっしゃる通り、彼のことを知っている人はこうなってしまいがちな内容でした。
      彼のテレビコメントとコラムや講演会のGapの大きさがちょっとあれですけど。

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  2. こんにちは。モーニングサテライトで堀古さんをしり、金融の世界にはまったく疎い私も興味をもちました。
    といっても、まだ何一つはじめていないのが現状です。
    この本は今はまったく素人の私でも読めそうでしょうか? これを機に少ない金額から資産運用をはじめたいとおもっています。
    今日初めてこちらのブログにおじゃましますが、素人の私でも是非読ませていただければと思います。
    初心者の私に金融の勉強のアドバイスがあれば、是非お願いします!

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    1. コメントありがとうございます。
      本の本質的な部分は投資経験に関係なく読めると思います。
      金融の勉強という観点なら、やや専門的かもしれません。投資の観点がメインですので。

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