2013年2月21日木曜日

北米「非在来型エネルギー」と投資戦略 その7 日本が採るべきエネルギー戦略の雑感

当ブログの人気シリーズです。検索キーワードにMLPとかシェールとかが上位に来ます。
その7を書くには勇気が入ります。但し投資には直接役に立たないかも?

今回は大胆にも日本が採るべきエネルギー戦略を「北米非在来型エネルギー」を活用することで述べてみたいと思います。

某大手町経済新聞社さんの記事で、シェールガスの記載がない日が無い、ぐらい最近頻繁に取り上げられるようになったシェール関連。
記事の多くは、米国では天然ガスが安いから、日本に輸入すれば電力料金の値上げを防止することが出来る、という趣旨のものです。
以下は別会社さんの記事ですが、見出しと中身がこんなに違うのに、なぜ煽るように書くのかわかりません。
一部抜粋
ただ、LNG取引の実務担当者は、シェールガス輸入による燃料価格圧縮に懐疑的だ。電力中央研究所(東京都千代田区)が都市ガスや商社など14社のLNG取引担当者31人に聞き取り調査したところ、米国でのシェールガス開発コスト上昇や、北米の好調な内需、他のアジアの買い主との競合などから、調達価格の大幅な引き下げは難しいとの意見がほとんどだった

(どこが「本腰」やねん? これじゃ、電力会社が値上げしたいがゆえんに、意図的に否定的に回答しているかのよう。アメリカが日本にシェールガスを「解禁」するか否かは、まったくわからないです。エネルギーの輸出はアメリカの外交上の戦略ツールと言ってよい)

しかし、同新聞社さんたちの主義主張に反抗して、私は戦略的にカナダと仲良くなる道を提案してみたいと思います。

理由
カナダと日本では、「アメリカを牽制する」という政治的利害関係で一致出来るから
特にカナダのオイルサンドを輸入することは経済的にも政策的にもメリットがあるから(勿論天然ガスでも良い)
カナダにもにもアメリカ一辺倒ではなく、「分散投資」にもなる
北米産原油は中東産その他の原油より、ディスカウント状態にある(割安)

まず、政治的利害関係の一致について。
もちろん、日本の外交政策は、アメリカにひたすら忠犬ハチ公のようにシッポを振って、ワシントンに撫で撫でしてもらって、にっこり「ワン」と吠えることが最優先に来ます。このご主人さまと飼い犬の良い連携を見せつけることが、ジコチューの赤い国への最大の武器になるからです。
しかし、ワシントンはハチ公の忠義を懐疑の眼差しで見ており(というより、短命政権ばかりで、本気に相手にしてもらえない? TPP問題然り)、ご主人さまの気を引かせる必要があります。

カナダ経済はアメリカ経済と一蓮托生のような状態にあります。しかし、カナダではアメリカほど住宅ローンバブルは発生していません。彼らはアメリカ経済への依存度は高いものの、なんとか一線を保っているような存在です。
アメリカでシェールガス革命が発生し、すっかりカナダ産の天然ガスは下火になっています。勿論、オイルサンドがあるので、アメリカはジャンジャン輸入してくれます。

しかし、そのオイルサンドも雲行きは万全ではありません。私はたまたまTransCanadaというカナダのパイプライン会社の株を持っていた時期がありました。当社は従来から、カナダのオイルサンドをはるばるヒューストンまで直結する「Key Stone」というパイプラインを計画していましたが、オバマ政権が民主党らしく振舞いたいがために、パイプラインが漏れたときの環境を懸念して、建設許可を渋っている、という事件?が大統領選挙前の2011年秋から12年にかけてありました(注:未だに建設許可が下りていないらしい)。

そうやって、TransCanadaおよびカナダ政府をイジメテいる??間に、アメリカのシェールガス各社はシェールオイルの開発に全力を注ぐようになりました。
したがって、アメリカ国内で採取できる石油の量も増え始め、天然ガス同様に原油価格も下落気味だそうです(WTIと実売価格は違うらしい)。

オバマ政権は国内の石油業者のために時間稼ぎをしたのちにKey Stone計画を許可する可能性があります。腹黒いですな、アメリカは(私はバフェットさんも一枚かんでいるのではと思っています。バフェットが富裕層への増税を主張して、オバマさんがKey Stoneの計画凍結を言い渡すという美しい連携プレーがありました。バフェットはカナダ国境付近のシェール油田の増産で、傘下の鉄道会社ががっぽり儲けていますから)。

したがって、カナダ政府も米国依存症から少しでも「分散投資」をしたいと思っています。カナダ政府の分散投資の本命は資源がぶ飲みジコチューの赤い国だと思います(英国の中国に対する香港返還時に大量の香港人の移民がカナダにいる)。しかし、日本でも十分歓迎してくれると思います。

日本はアメリカに「いいわよ、カナダからガス・原油を分けてもらうから」と言えるようにすることで、結果的に天然ガスの輸出許可認定への圧力がかけられます。アメリカの気を引く行動に出ることです。原油の輸入ならアメリカをそこまで刺激しないでしょうし、「アメリカからも買え」と言ってくるかも。

日本は原油の輸入の80%以上を湾岸諸国に依存しているため、地域紛争になると、供給ラインが常に脅かされる状況になります。自衛隊の派遣は徐々に抵抗が無くなっていますが、余計なコストをかけたくないのは財政状況を見れば一目瞭然のはずです。
(エネルギー白書2011から)

おそらく日本の商社辺りがカナダ側に、原油・天然ガスの輸入について、かなり働きかけていると勝手に思っていますが(私程度の者が思いつくのですから、万年人気就職ランキングトップクラスの財閥系商社の人ならとっくに考えているはず)、日本のマスコミの人たちはどういう思惑があるのかわかりませんが、シェールガス・アメリカ・官民一致協力という筋書きがお好きなようです。
おそらく経産省あたりの記者クラブが役人経由でそのように既成事実化したいのかもしれません。

日本の電力会社のLNG購買関係者は、たとえシェールガスが輸入出来ても、価格の劇的な下げには懐疑的だ、とインタビューに答えているのに、この書きぶり・・・・。
なぜでしょうね。

西海岸へのパイプラインは是非、Kinder Morganで(と最後は自社の宣伝)。


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1 件のコメント:

  1. こんにちは。
    「LNG輸出国と日本の課題:ロシア、カナダ」


    http://p.tl/7W7U!

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